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第19話
ゴブリンとは大きく異なり、少し小柄なエドワードよりも高いところまで伸びているが、よく見ると宙に浮いている。まるで蔦が絡まってほどけなくなったように丸く、その中心には人間を模したような緑色の顔があった。あまりにも不気味すぎて、エドワードはとっさに声が出なかった。
震える手で剣を構えながら、すぐに逃げられるように足に力を入れる。ロドルフが離れすぎないうちに知らせなければ。
「ろ、ロドル……」
ようやく声を出せたところで、魔物は突然ニヤリと笑った。
あまりにもおぞましい姿にもかかわらず、エドワードは呪いがかけられたように動けなくなって、魔物から目を離すことができなかった。
そして、目からまばゆい光が放たれた。
「うわっ!!」
とっさに腕で目を覆ったが、その勢いで剣を落としてしまった。カラン、と、転がる音が聞こえた。
「殿下! どうされました!?」
エドワードの声で異変に気づいたようで、ロドルフが叫びながら駆け寄る音がした。背後から支えられる感覚がした。
「そこに、ゴブリンじゃない、魔物が……変なやつで、宙に浮いてて……」
「浮いてる……? 一体どんな……」
ロドルフはエドワードの言葉を理解していないようだ。
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