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第26話

「今すぐ行こう、ロドルフ」 「それはできません」 「どうして!?」 「殿下のお身体は疲弊しています。今は休むのが最優先です」 「そんな……」 「ロドルフ団長の言う通りですよ」  ハーリーはロドルフに加勢するように言葉を続けた。 「体力を回復しなければ十分に戦えませんし、今度は命を落とす危険性も増します。それに、エドワード殿下が休んでいる間に魔物について調べたり作戦を立てたりして、確実に討伐する方法が見つかるかもしれません」 「っ……」  言われたことは十分理解しているけれど、エドワードは己の無力さに悔しくてしょうがなかった。  エドワードは歯を食いしばりながらうつむいた。これ以上二人に何も言い返せない。 「ひとまず僕はこれで失礼します」 「うん……。ありがとう」 「体調の変化でなくても何かありましたら、いつでもお呼びください」  ハーリーはそう言って立ち上がり、エドワードに一礼して去っていった。  カチャ、と部屋のドアが閉められると、何も音がしなくなった。

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