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第31話
「ごめんね、ロドルフ」
「嫌、でしたか……?」
「ちっ、違う。そうじゃなくて、その、こんなことさせちゃって、申し訳なくて……手も汚しちゃったし」
「これくらい大丈夫です」
「僕はよくないよ……」
エドワードは枕元に置いてあった濡れたタオルを手にして、ロドルフの手を丁寧に拭った。嫌な感覚は完全に消えないかもしれないけれど、せめてもの償いだ。
布越しに、ロドルフの手の感覚を改めて知る。エドワードよりもずっと長い間剣を握っていたから、手のあちこちが隆起している。
努力の証が、エドワードの敏感な部分に触れて刺激を与えていた。
ふと、エドワードは何を考えているのかと小さく声を漏らした。ロドルフに聞こえていないだろうか。
「恐れ入ります、殿下。もう大丈夫です」
そう言ってロドルフは、エドワードからタオルを持っていった。そしてそのまま水の入った器も持って立ち上がった。
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