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第32話
「陛下に急ぎ報告を行いますので、殿下はお休みください。もし何かありましたら私を呼んでください」
「う、うん。ありがとう」
失礼します、と、ロドルフは笑顔で一礼してからエドワードの部屋を出ていった。
エドワードはベッドに横たわったが、心が完全に晴れた気がしなかった。
今さっきのロドルフは誰がどう見ても笑顔だったけれど、明らかに無理しているようだった。
「そりゃ、嫌だよね……」
非常事態だから仕方なくしてくれたに違いない。普通は男同士でするものではない、とエドワードは認識している。
ロドルフも、いつかは女性を好きになって結婚するだろう。それなのに、このようなことをさせてしまった。
エドワードの左胸がチクリと痛んだ。触ってみるものの、特に異変はなさそうだ。
「ごめんなさい、ロドルフ……」
エドワードは一人静かに呟いてから、膝を抱えてそっと目を閉じた。
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