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第34話

 エドワードの父である国王──フィリップも、エドワードと同じく若かりし頃は剣の腕を磨いてきた。そのため、身体の使い方に関してはロドルフと似たような考えを持つことが多い。  二人の言っていることは分かる。けれども、何もしないこの時間が悔しくてじれったい。  ロドルフのように強ければ。そんな考えが頭をよぎる。 「体力が回復しましたら、一緒に鍛錬をしていきましょう」 「ロドルフ……」 「私もまだまだ鍛錬が足りていません。なので、殿下とともに力をつけていきたいです」  エドワードを元気づけるために言っているのだろう。それでもエドワードは純粋に嬉しかった。 「うん! ありがと、ロドルフ。早く動けるようになるからね」 「近頃の殿下は、模擬戦での勝利が増えてきましたね」 「えへへ。最近なんとなく自分にいい方法が分かってきた気がするんだ。まあ、ロドルフにはすぐに負ける自信しかないけど」 「そんなことありませんよ。いつも殿下の動きには驚かされてばかりで、審判をしているのを忘れてしまいそうになります」 「そうなんだ! 公平に判断してるからびっくりだよ」  ふと、ロドルフといつものように会話できていることに気づく。  昼間は痴態を晒してしまった。  一人の間ずっと悶々と気にしていたのに、ロドルフ本人といるとすっかり忘れていた。  もしまた発情してしまったら、その度に同じことになってしまう。

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