35 / 171

第35話

「……殿下?」 「んっ、な、なんでもないよ」 「私の責任ですので、ご遠慮なくなんでもおっしゃってください」 「う、うん……」  そうは言われても、さすがにまた手伝ってもらうのは申し訳なさすぎる。 「それより、ロドルフが僕につきっきりになっちゃったら、騎士団の方は大丈夫かな」  エドワードはこれ以上同じことを話したくないので、話題を変えた。  事実、遠征から帰ってきた後からロドルフはずっとエドワードのこと以外何もしていないようだ。 「それでしたら、副団長のオリヴェルに任せているのでご安心ください」 「そっか。よかった」  副団長のオリヴェルも、ロドルフのように仕切るのが上手い。特に新人団員の教育に関しては、ロドルフよりも秀でているかもしれない。オリヴェルはロドルフと同じくらい団員から信頼されており、ロドルフもオリヴェルに安心して任せられている。 「でも、ロドルフをずっと独占してるのはさすがに申し訳ないかな」 「ははっ。他の団員はそんなこと気にしませんよ」 「分かんないよ? ロドルフは優しいからみんな信頼してるし」 「ありがとうございます」  このままずっと、ロドルフと普通に会話していたい。  エドワードはそう思いながら話を続けていたのだった。

ともだちにシェアしよう!