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第39話

「ロドルフが必死な顔でエドワードを抱えて帰還したのを見たときは焦った。外傷はないようだが?」 「はい。僕に怪我はありませんでした。ですが、ハーリー医師の見立てでは、魔物に呪いをかけられたようです」 「なんと……」 「申し訳ございません。私がいながらこのような事態に……」  立っていたままのロドルフは頭を下げた。  エドワード自身が油断していたから、そう自覚しているからこそロドルフの姿を見ているのは胸が締めつけられそうになる。 「ロドルフ、頭を上げよ」 「はっ……」 「ロドルフがいたから、エドワードが油断していた。そうではないか?」 「……はい」  フィリップに言葉にされて、エドワードは視線を下に向けた。  魔物との戦いを経験したことがあるからこそ、フィリップの言葉はエドワードに重くのしかかった。 「日頃から常に神経を張り巡らせるように言っておるだろう。実戦の場でそれを怠ってどうする。……だが、エドワードが無事に戻ってきてくれてよかった」 「父上……申し訳ございません」 「陛下。魔物を見逃してしまった私にも責任があります」 「ふむ……」  ロドルフは責任を重く感じて、何度も同じことを繰り返し言っているのだろうか。フィリップは少し呆れているように思える。 「だがなぁ……」

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