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第44話

 オリヴェルはニコリと笑った。端整な顔立ちもあり、彼の笑顔を見た多くの女性は感嘆を漏らす。街の女性人気はロドルフをも圧倒している。けれども、どんなに女性からはっきりと好意を向けられても、騎士団員として従事することを最優先として断っているようだ。 「滞りなくやっているようだな」 「お疲れさまです、ロドルフ団長。俺が乗っ取れるくらい順調ですよ」 「それはそれで複雑だな」  ハハハ、と、ロドルフとオリヴェルは笑っていた。冗談を言い合えるほど二人の結束力が固く、フィリップからの評価も高い。 「殿下がいらした以外にも何かあるんでしょうか?」 「後ほどオリヴェルから話して思っていたが、私から直接伝えておこう」  ロドルフは整列した団員たちの方を向いて、再び口を開いた。 「私は、しばらくの間エドワード殿下の専属騎士を務める。その間はオリヴェルに権限を委ねる」 「承知いたしました。では、引き続き俺がロドルフ団長に代わり騎士団を指揮していきます」 「頼んだ、オリヴェル」 「はい、任せてください」  オリヴェルはロドルフに笑みを向けてから、くるりと後ろを向いた。 「ロドルフ団長に代わり、しばらく俺が指揮していく。よろしく頼んだよ」 『はっ!』 「今日の鍛錬は終了です」  皆一礼してそれぞれ去っていった。

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