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第52話

 エドワードの右手は白濁で濡れていた。 「はぁ……」  ようやく達した安心感か、身体の力が抜けてぐったりとソファの背もたれに寄りかかった。次第に火照りと速い脈打ちもなくなっていき、治まったと実感できた。  エドワードはさっと手を拭ってから衣服を整えた。 「ロドルフにしてもらう方が、気持ちよかった……」  ぽつりと呟いてしまったが、我に返ってドアの方を見た。ロドルフに聞かれていなかっただろうか。  一人でどうにかするために外に出てもらったのに、ロドルフに頼るようなことを言ってしまった。  それに、立場上逆らえないにもかかわらずこんなことをさせてしまっては申し訳なさしかない。ロドルフは民を守るために騎士団に入ったのだから。  だが、ロドルフの感触の方がいいのもまた事実だった。 「そんなこと、言えないよ……」  次もきちんとロドルフを頼らずに対処できるのか不安でしょうがない。またロドルフのことを思い浮かべながらしてしまう気がする。  エドワードはロドルフと顔を合わせるのが気まずくて、再びソファにもたれかかって天井を見上げた。

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