53 / 171

第53話

「はぁ……」  エドワードは一人テラスに出て、王都を眺めていた。明かりはほとんどないけれど、ところどころで灯っているところがある。夜になると繁盛する店があると聞いたことがあるので、きっとそれだろう。  自室の入り口にはロドルフがいるのでいつでも呼べるが、昼間のことを考えてしまうと顔を合わせる気分になれなかった。 「こんな調子で慣れるのかな……」  解呪ができて勝手に発情することがなくなったとしても、生理的現象で発生する可能性も十分あり得る。だが、他人の気持ちいい感触を知ってしまったせいで、エドワードは自信が持てない。  エドワードは何度目かのため息をついていた。 「どうしましたか、エドワード?」  ふと声のする方に視線を向けると、寝間着姿のレオナルドが立っていた。部屋は離れているが、テラスは繋がっているため行き来することができる。 「兄上……。いえ、大丈夫です……」 「そんな風には見えませんよ。私にも話せませんか?」 「っ……その、一時的な発散について……。僕、一人でやっていけるか不安で仕方がないです……」

ともだちにシェアしよう!