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第59話
「では、今日の鍛錬の間よろしく頼んだ」
『はっ!』
そうして各自間隔を広げていった。
エドワードはまず甲冑姿に慣れるために柔軟運動から始めた。
甲冑よりずっと軽い服しか着ていなかったため、たかが数日でも身体が鈍っていたようだ。普段は難なくこなせる動きも、終えたところで息が上がってしまった。
「はぁ……はぁ……」
少し息を整えたところで今度は木剣を握り、素振りをする。数日前に討伐のために持っていた剣よりも軽いけれども、すぐ疲れた身体には重く感じた。
自分でも徐々に動きが遅くなっているのが分かった。しばらくしたところでエドワードは動きを止めて再び深く呼吸をした。
「殿下、大丈夫ですか……?」
すぐに近寄ってきたロドルフが声をかけてきた。
「はぁ……久しぶりで身体が重い……」
「あまり無理はなされないようにしてください」
「うん……。この後の模擬戦は、今日は僕は見てるだけにするからもう少し動いてみる」
「分かりました。何かありましたらすぐにおっしゃってくださいね」
エドワードは再び身体を動かしていくが、模擬戦が始まる頃には全身が甲冑と一体化したように重くてしょうがなかった。
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