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第60話

「ロドルフ……今日の模擬戦は見てるだけにするよ」 「承知いたしました。応援の方よろしくお願いいたします」  エドワードは戦う団員たちを囲う位置に立った。最近はずっと模擬戦で戦うことが多かったので、ここにいるのが不思議だった。 『よろしくお願いします!』  団員たちが一礼すると、すぐに剣を交える。彼らはかなり強い二人で、先日の魔物討伐にも参加していた。  白熱した戦いは周囲をあっという間に盛り上がらせる。エドワードも彼らから目が離せなかった。距離を縮めたり離れたり、まるで踊っているように軽やかな動きで剣を振るう。  そんな彼らの向こうには、ロドルフが審判として立っている。真剣な表情で彼らの動きをしっかりと見ていた。審判をしているときも、個人で鍛錬しているときも、ロドルフはいつでも団員たちをしっかりと見ていることを実感できた。  団員たちもそんなロドルフだから信頼を寄せているに違いない。フィリップも認めるくらいだから、ロドルフは騎士団長であるべきだとエドワードは思った。  すると、片方の木剣が思い切りはじき飛ばされた。勝敗が決まった。 「それまで!」  白熱した戦いを称える拍手が湧き上がり、エドワードも同じように手を叩いた。

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