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第68話

「殿下……大丈夫ですか!?」  少し違う動きをしただけでロドルフに見つかってしまった。エドワードはシャワーを止めず、粗い呼吸のまま壁にもたれかかってなんとか立っていた。 「また……呪いが出ちゃったみたい……」  エドワードは視線を上げてロドルフを見る。すぐ目の前まで近づいていたのか、今にも触れそうな距離までロドルフの顔が迫っていた。 「んっ……」  エドワードの鼻に何か柔らかいものが触れた。一体何なのかと考えていると、ロドルフがじっと見つめていることに気づいた。 「殿下……」 「な……」  問いかけようとしたそのとき、唇が温かくて柔らかいものに包まれていた。  これは一体何なのか。  答えを考えているうちに鼓動が激しくなっていく。発情とは違うもののような気がした。  だが、不思議と触れている部分が気持ちよかった。エドワードは離れたくないと少し押しつける。 「っ……あっ……」  動いた途端すぐにそれは離れてしまった。  再びロドルフの顔が間近に見える。エドワードは、ロドルフにキスされていたのか。 「ロド、ルフ……?」  キスは恋人同士がするものなのに、どうしてロドルフがしてきたのだろうか。  一方で嫌悪感は一切なく、むしろとても気持ちよかった。

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