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第71話

 もしかしたら他にも発散する方法があるのかもしれない。その可能性があるなら、楽な方法を探りたい。 「そろそろ出ようかな」 「はい、そうしましょう」  エドワードはロドルフの方を向いて話しかけた。  だが、ロドルフは笑顔を浮かべていたが、どこか違和感があった。一瞬見ただけで、エドワードにはその理由が分からなかった。  脱衣所で水気を拭っていると、ふと先ほどの行為について、あっ、と小さく声を漏らしてしまった。  数日間せっかく一人で対処できていたのに、またロドルフの手を借りてしまった。 「ロドルフ……」 「どうかしましたか?」 「……な、なんでもないよ、ごめん」  申し訳なさで包まれているが、同時にまたキスされたいとも思っていた。  ただの主従関係なのに、恋人同士がすることをやるものではない。そう言い聞かせてはいるけれど、心地よい感覚を忘れられそうになかった。  ロドルフ以外の誰でもいい、そんなわけはない。  これ以上ロドルフだけに負担を強いるわけにはいかない。ならば自分で対処する以外他に方法はないだろう。  もやもやとした気分に包まれながら、エドワードは汗で湿った服を再び着ていった。

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