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第75話
エドワードはビクリと身体を震わせた。普段は優しいフィリップだが、怒るときは口調も視線も鋭くなる。これ以上怒らせてはいけない。
「魔物を倒せなかったのに、なぜ行こうとする。ロドルフも団員も、新たな被害が生まれるかもしれないのだぞ」
「はい……申し訳ございません」
「少しは反省するように」
それだけ言い残し、フィリップは立ち上がってそのまま会議室から去っていった。
フィリップを怒らせてしまったことに、エドワードは悔しくて顔を上げられなかった。
「……ではロドルフ、私はハーリーのもとへ行ってきますね」
「よろしくお願いいたします、レオナルド殿下」
はっと顔を上げると、レオナルドも部屋から出ていってしまった。
残されたロドルフと普通に会話できる気がしない。けれども、ずっとロドルフといるので逃げることもできない。
「殿下、そろそろお部屋へ戻りましょう」
いつもの優しい口調に、エドワードは思わず顔を上げた。
優しい笑みを浮かべたロドルフがこちらを見ていた。
「ロドルフ……」
「今日は久々の鍛錬でお疲れかと思いますので、ゆっくりされた方がいいかと思います」
「うん、そうだね……」
エドワードはそっと立ち上がって、ロドルフとともに会議室を出た。
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