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第76話

 自室へ向かって歩いていると、ロドルフはエドワードの隣に並んできた。 「殿下。ハーリー医師からしっかりとした情報が得られましたら、必ず討伐に向かいます。それまでもう少しお時間をください」  力強い声でロドルフはそう語りかけてきた。エドワードがロドルフの方へ視線を向けると、いつも通りの笑顔であった。  ロドルフが絶対に討伐すると言っているのだから、信じなければ意味がない。 「うん……! 僕も早く体力戻して、まずは日常生活に支障がないようにするよ!」 「期待しております。何かありましたら、私に何でもおっしゃってください」  何でも。そう言われた途端、昼間のシャワールームでの出来事を思い出した。  ロドルフとのキスは、とても気持ちよかった。  触れているうちに発情が治まったことも不思議だったけれど、そもそもどうしてロドルフは触れてきたのだろうか。二回目は拒んでいたから、仕方なくだったのかもしれない。  自室に到着したところで、ふとエドワードはロドルフの口元を見ていた。  もう一度、触れられたい。気づけばそう思っていた。 「殿下、どうかされましたか……?」 「うっ、ううん! 大丈夫、だよ、うん……。おやすみ」 「おやすみなさいませ」

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