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第77話

 エドワードはドアを閉じてようやく一人きりになった。その途端、ドアの前でへなへなとその場に崩れ落ちてしまった。 「ぼ、僕は、何を考えてたんだ……」  顔が熱くなってきて、ロドルフの顔が頭から離れない。まだ部屋の真ん前にいるかもしれないのに、平常心を取り戻せる気がしなかった。  ロドルフはこの国の騎士団長で、今は仮初めのエドワードの専属騎士。それ以上でもそれ以下でもない。  ふと、ここ最近ロドルフの笑顔を見ていると鼓動が一瞬高鳴ることが多いことを思い出した。そのときも、ロドルフの笑顔を見ているとなっていた。  そして、数日前にレオナルドに言われた言葉。 『まるで恋してるようですね』  ただの冗談だと思っていたけれど、もしかして本当に恋しているのだろうか。  エドワードの気持ちは自分自身にしか分からない。だが、一人で考えていても答えは見つからない。 「……いや、そもそもロドルフが迷惑だよ」  ぽつりと自分に言い聞かせて冷静さを取り戻す。  ようやく身体が落ち着いたのか、エドワードはようやく立ち上がることができた。

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