83 / 171

第83話

 はぁ、と、ため息をつきながらエドワードはようやく立ち上がる。そして憂鬱な気持ちで着替えを終え、いつもよりやけに早いなと思った。  部屋の外へ出ると、ロドルフが何事もなかったかのように待っていた。 「おまたせ」 「では行きましょう」  苦しそうな表情をしていたとは微塵も感じられないほど、ロドルフはさわやかな笑みを浮かべていた。  忘れたいほど嫌だったのかとエドワードは思わされた。顔を見るのが申し訳なくて、ロドルフの前に出てダイニングへと向かう。  到着するとすでにフィリップとレオナルドもいた。 「父上、兄上、おはようございます……」 「おはよう、エドワード」  フィリップの声はいつもより鋭かった。やはり、まだ怒っているようだ。  フィリップとレオナルドが入っていってからエドワードも入っていく。テーブルにはいつも通りの朝食が並べられているが、重苦しい雰囲気が漂っていた。  エドワードはため息が出そうになるのを必死でこらえながら、パンを手にとってちぎる。サラダを食べても、スープを飲んでも、なんだか味気ないように感じた。

ともだちにシェアしよう!