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第86話
ふと、説明と自ら口にして気付いた。キスして落ち着いたことも言わなければということに。医者という立場としては新たな気づきがあるかもしれないけれど、誰としたのかといった深堀りをされないか心配になった。
おまけに、キスした張本人を目の前にして言わなければならない。そのことが余計に恥ずかしい。
何かいい案がないだろうかと考えてはみるものの、エドワードは全く思い浮かばないうちに自室へ到着してしまった。
ロドルフを外で待機させ、エドワードは一人ソファにもたれかかる。ちらりと視線を横に移動させると、ベッドがきれいに整えられているのが見えた。
朝食前、あのベッドの上でロドルフにキスされながら達した。
ロドルフの感情を無視して、エドワードが楽になるためだけに一方的に求めた。ロドルフに対して申し訳なさがいつまでも積もっていく。
無事に解呪できたら、ロドルフのために喜ぶことをしてあげたい。エドワードはそう思った。
コンコンッ──
「失礼します。ハーリー医師がいらっしゃいました」
ロドルフの後からハーリーが部屋に入ってきた。
エドワードはソファから身体を起こして背筋を正した。
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