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第92話

「はあぁーーー……どうすればいいの……」  頭の中が呪いのことで埋め尽くされて、日々の申し訳なさや後悔が心にずしりとのしかかってくる。  誰かに気軽に相談できる内容ではない。エドワードに今できることは、そのときが訪れないようにただ祈るだけだ。  こんなとき、ロドルフと恋人だったら。ふとそんな考えがよぎる。 「……って、僕は何考えてるんだ! 自分に都合がいいだけだ!」  騎士団長という名誉ある存在であるので安定感がある。それ以外にも常日頃の優しい振る舞いや気遣いは、多くの女性に好かれてもおかしくない。  おまけに、キスも気持ちよかった。  誰もが羨む存在をこの国の第二王子として独占している。それが今は障壁となっていた。 「ロドルフには素敵な女性が隣にいるべきだ。うん、そうだよ」  そう自分に言い聞かせてはみるものの、胸がチクリと痛んだ。  エドワードは自らの左胸に手を当ててみるが、特に異変はなさそうだ。ここ最近、ロドルフのことを考えていると同じようになっていた気がする。  そしていつも、エドワードは気が重くなっていたなと思った。

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