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第93話

 昼食をすませてからエドワードは騎士服に着替えた。団員の格好なのでロドルフと全く同じではないけれど、似たようなものを纏っているので少し嬉しい。  鍛錬場の武器庫にある細身の剣を腰にかけ、鍛錬場の前でロドルフとともに最終確認を行う。 「格好よし、剣もよし」 「それでは行きましょう」  王都の見回りは、基本的には民とのふれあいが主にやっていることだ。ごく稀にケンカの仲裁をしたり泥棒を捕まえたりと不穏なことはあるけれど、それらは主に夜に発生している。  エドワードが街に出る日中は、ロドルフが騎士団長になってから何かがあったことは片手で数えられる程度しかない。それも探し物をするという些細なことだった。  王城から出ると、昼下がりの街は少し賑わっていた。休憩をしたり、遅い昼食をしていたり、人々は穏やかに過ごしている。 「みんな平和だね。嬉しいなー」 「ええ。平和に過ごす姿を見ると、私も安心です」  ロドルフは柔らかい笑顔を見せた。最近は苦しさが混じった笑顔ばかり見ていたので、エドワードはとても嬉しかった。つい、喉まで出かかってロドルフに言ってしまいそうになった。  エドワードの気晴らし、と言っていたが、もしかしたらロドルフの気晴らしにもなっているかもしれない。

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