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第100話
「はぁ……はぁ……」
「殿下……もうすぐ殿下のお部屋です」
「うん……」
ロドルフはいつもエドワードのことを見てくれているから、発情はあっさりと見抜かれてしまった。それでもさり気ない声かけは、ロドルフの優しさだ。
エドワードはロドルフに支えられながら、ようやく自室に到着した。這うようにベッドに移動して、そのまま着替えずに倒れ込んだ。
ロドルフ以外誰も見ることがない安心感からか、身体が急に熱くなってきた。エドワードは上着の首元を緩める。
ふと、ロドルフの姿が遠ざかっていることに気づいた。一人になりたくない、エドワードの心に恐怖が襲いかかってきてロドルフに手を伸ばす。
「やだ……行かないで、ロドルフ……」
「……殿下、私はどこにも行きません」
ロドルフはさっとやって来て、エドワードの右手をそっと握った。
触れられた瞬間は痺れるような感覚がしていたのに、ロドルフの温もりが感じられるととけてしまいそうなほど熱くなってきた。
エドワードはゆっくりとロドルフの手を握り返した。鼓動は激しくなっていくけれど、ロドルフを感じられて安心できた。
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