113 / 171

第113話

「では、お身体を拭うために湯を用意してきますね」  そう言ってロドルフは部屋から出ていった。  エドワードが第二王子だから、最後まで徹底的に整えてくれている。そう言い聞かせている自分が虚しくてしょうがない。  もしハーリーに相手になってもらったらこんな感情を抱くことはなかったけれど、今考えると彼にしてもらいたくなかった。ロドルフが相手だったから、不快感もなく治まることができただろう。 「ごめんね、ロドルフ……」  本人に向かってそう言えればいいのに、エドワードはできなかった。何度伝えても、大丈夫だと苦しそうな笑顔で返してくるのが想像できた。  いっそのこと、ロドルフに気持ちを全て伝えてしまう方がいいのかもしれない。  一瞬そんな考えがよぎったが、あくまでこの国の王子として好意のあるロドルフを余計に困らせるだけだ。ロドルフのことだから、気持ちを押し殺して笑顔を向けてくるだろう。 「あー……そんなのだめだよ……どうすればいいの、僕……?」  エドワードはベッドで膝を抱えながら必死に考えた。

ともだちにシェアしよう!