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第116話
「じゃあ、その後は……?」
いっそのこと、ロドルフに想いを伝えてしまった方がいいかもしれない。
そんな考えがよぎったが、エドワードは首を振ってその考えを否定した。
立場を利用して拒めないようにしているようだ。そんなつもりは微塵もないけれど、ロドルフはきっと否定できない。そんな関係はエドワード自身も望んでいない。
ただでさえ今辛い思いをさせているのに、ロドルフをとても苦しめ続けるだけになってしまう。それだけは決してしてはいけない。
恋という意味で好きなロドルフにいてもらいたいけれど、それ以上に優秀な騎士団長としてもいてもらいたい。誰が見ても圧倒的に後者の方が大事である。
エドワードは盛大にため息をついた。
「こんなに苦しいなんて……恋しなければよかったのに……」
今さらどうにかできる感情ではない。分かっているはずなのに、ついこぼしてしまった。
誰にも聞かれてなくてよかった。誰かに聞かれていたら、何を言われるか分からない。
答えの出ない問いに、身体は疲れ切っているのにエドワードは眠れる気配を感じられなかった。
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