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第120話

「待って!」  エドワードはロドルフが話し終えたのと同時に叫んだ。 「そんな危険なこと、ロドルフにはさせられないよ」 「エドワード殿下にこれ以上危険なことはさせられません」 「それに、魔物は僕に呪いをかけてたから、見たことのある僕の方がおびき寄せられると思う。呪いの効果を実感してるから自然にできると思うし」  安全な場所でただ待っているなんてできない。足手まといになるかもしれないけれど、エドワードはどうしても自分の力で対処したかった。 「ですが私は……」 「今度はロドルフたちがしっかり見てるでしょ? みんなも協力して倒してくれるんでしょ? 僕は、ちゃんと帰れるって信じてるよ!」  ロドルフがいるから。彼のことをじっと見つめながらエドワードははっきりと口にした。  エドワードは発情が全く出なくなってから、必死に鍛錬に励んでいた。皆には到底敵わないけれど、非力ではない。  ロドルフはエドワードのことをじっと見つめたまま動かなかった。どうか、一緒に討伐に行くと言ってほしい。  沈黙を破ったのは、ロドルフのため息だった。

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