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第136話

 夜の森は不気味なほど静かだった。パチパチと燃える焚き火の音だけで、魔物に存在が見つかってしまいそうだとさえ思えてくる。  エドワードは無防備に火の前で座り込んでいる。一瞬では判断できない鎧の内側に短剣を隠し持ち、いつでも応戦できるようにはなっている。  さらに、少し離れたところではロドルフや精鋭部隊の皆が見つからないように姿を隠して潜んでいる。油断しているように見えるエドワードを襲ってくるだろう魔物と、すぐに対峙できるように。  いくらすぐそばに誰かがいてくれているとはいえ、自分のすぐ近く以外は暗闇に覆われた場所に一人きりでいるような感覚は不安でしょうがない。だが、エドワードは自らの力で魔物を討伐したいと言ったのだから、最後までやり遂げなければならない。 「ふぅ……」  エドワードはゆっくりと息を吐いて、それからゆっくりと空を見上げる。  木々に覆われて空はほとんど見えないけれど、ロドルフたちにだけそれとなく分かるようにする、エドワードが演技を始める合図だ。

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