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第137話
ロドルフ以外に恥ずかしい姿を見られると思ってしまうと、急に鼓動が速くなってきた。これは解呪するために必要なこと、そう言い聞かせて何度か深呼吸を繰り返す。
そして、エドワードは突然ビクリと身体を震わせた。何度も経験してきた状況を思い出し、本当に発情している素振りを見せる。
「っ……あぁ……」
無事に魔物を倒して帰還して、フィリップとレオナルドを安心させて、そしてロドルフに想いを伝えて。ここでやられてはいけない、息遣いまで全力で発情を演じ続ける。
激しく悶えるためにエドワードは地面に横たわり、バタバタともがいてみせる。一応ある程度の視界を確保しつつ、うつ伏せに近い状態になっていく。
カサッ──
エドワードの正面から、草の揺れる音がした。だが、地面よりもずっと高いところから発せられた音は、誰かが動いたからではなさそうだ。
耳を研ぎ澄ませながら、エドワードは休むことなく演技する。同時に、相手を油断させるために音のした方へ身体を少し近づける。
しばらくすると、すぐ近くでカサリと音がした。だが、エドワードよりもずっと高い場所からだった。
「はぁ……はぁ……」
呼吸を荒げてチラリとそちらへ視線を向けると、宙に浮いた蔦の塊があった。そしてその中央にはニヤリと笑った不気味な顔がある。
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