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第142話

 エドワードも何度か攻撃していくうちに、皆が均等な距離を保ったまま魔物を囲むことができた。ロドルフは魔物の左側、中央を狙いやすい位置で剣を構えている。 「倒すよ!!」  エドワードが叫ぶと、団員たちもいっせいに魔物へと向かっていった。  すると、魔物は真正面にいるエドワードをじっと見つめながら、ニヤリと口を歪めていく。一瞬呪いの恐怖が襲いかかってきた。今はロドルフがいる、他の団員もいる、エドワードはそう自らに言い聞かせながら勢いを落とさず向かっていく。 「はぁっ!」  気配を殺していたロドルフが、魔物の顔に刃を深く突き刺した。そして顔の前に向かってさらに斬っていく。  魔物は急に顔を歪め、じわじわと黒い煙を出していく。徐々に黒い部分が増えていくと同時に、魔物だったものはどんどん消えていった。  これで、エドワードの呪いも解けるはず。エドワードは目の前から視線を逸らせなかった。  完全に黒い煙に包まれると、音もなく魔物は完全に消滅した。ここにいるのは、エドワードとロドルフ、そして騎士団員だけだ。

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