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第170話
廊下で二人きりになり、エドワードはロドルフの方を向くと視線がぶつかった。
「……部屋に戻ろっか、ロドルフ」
「そうしましょう」
エドワードはロドルフと並んで廊下を進んでいった。かける言葉が見つからず、自室に到着するまで一切言葉をかわさなかった。だが、いつもよりやけに早足な気がした。
そして部屋に入るなり、エドワードはロドルフとの距離を縮めて抱きついた。誰にも見られないこの空間で、ロドルフとゆっくり触れ合いたい。
「ロドルフ……!」
エドワードのことを受け止めたロドルフは、そっと背中に手を回した。
「父上も兄上も、僕の気持ちに気づいてたんだね……」
「お二人とも、エドワード様のことをよく見ていらっしゃるのでそれかと」
「あっ、それとも、昨日の音が漏れちゃってたとか……」
「陛下ともレオナルド殿下ともお部屋が離れているので、それはないかと思います……恐らく」
ロドルフも完全には否定しきれていないせいで、エドワードはつい笑ってしまった。それはロドルフにも伝わっていった。
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