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第59話 Forever, You【SS】side~keitarou
そらは恥ずかしさに耐えきれず、膝を抱えて顔を隠した。
啓太朗はその様子に、一瞬だけ驚く。
――けれど、次の瞬間には期待していたとおりの展開に
悪い笑みが口元に浮かんだ。
「なあ、そら……それって、誘ってる?」
そらの肩がびくりと跳ねる。
「こっちにおる間、俺の家も、そらの家も親おるやろ?
だから、そういうエッチなことはできへんかなって……思っとったんやけど」
わざと間を置き、そらの耳元に顔を寄せる。
声を落として、低く囁いた。
「そらは……期待しとったってこと?」
吐息がかかる距離でささやかれ、そらは耳まで真っ赤になる。
そらは小さな声で、ぽつりと言った。
「だって……、一ヶ月半ぶりやし……
めっちゃ会いたかったし……
前したとき、めっちゃ気持ちよかったし……
そんなん、期待してまうやん……」
その言葉を聞いた瞬間、啓太朗の中で何かが完全に外れた。
無言のまま、そらの手をぐいっと引く。
「ちょ、ちょっと、啓太朗さん……!」
呼びかけにも反応せず、啓太朗は黙々と浅瀬をざぶざぶ歩く。
その勢いのまま駐車場までたどり着くと、
助手席ではなく後部座席のドアを開け、
そらをそのまま押し込んだ。
ドアが閉まると同時に、車内に二人の荒い息だけが満ちる。
啓太朗は、そのまま後部座席にそらを押し倒した。
レザーシートがぎし、と小さく鳴る。
次の瞬間、激しいキス。
息が続かず、そらの喉からかすかな声が漏れる。
「……っ、けいたろ、さん……」
苦しそうに吐息をこぼすそらの頬に手を添えて、
啓太朗は荒い息のまま囁いた。
「なあ、空……ほんまは今日、こんなことするつもりなかったんやけど……
もう、空が可愛すぎて…………このまま押し倒してもいい?」
「……もう押し倒してますやん」
そらがそう言って首に抱きついた瞬間、
啓太朗は笑い、理性を完全に手放した。
――そこから先は、ただ夢中だった。
押し殺した声と、狭い車内に響く衣擦れだけが夜に溶けていった。
「そら、大丈夫?」
真夏の夜、クーラーの効いた車内でも後部座席はまだ熱がこもっている。
汗に濡れたそらの額に、啓太朗はそっと指先を滑らせた。
「……だ、大丈夫です。
なんか、いろいろやばいですけど」
そらは真っ赤な顔で、息を整えながら答える。
「一回……抜くで」
啓太朗はゆっくりと動いて、そらの中からスルッと抜いた。
その瞬間、強い視線を感じて顔を上げる。
そらが、じっと啓太朗のそこを見つめていた。
「……なーに、そんなに見て」
思わず笑いながら言うと、そらは視線を逸らしつつ、
小さな声で呟いた。
「いや……そんな大きなもんが入っとったんやなって思って……
ちょっとびっくりしてます……」
その反応に、啓太朗の口元が悪戯っぽく歪む。
「……そら、そういうこと言うと、俺ほんまに止まらんくなるで?」
啓太朗はそらの腕を引いて、後部座席に座らせた。
革のシートに汗ばんだ背中が張りついていて、ギュッと音が鳴る。
「……じゃあ、そら」
啓太朗がわざと間を置いて、にやりと笑う。
「そらが付けて」
「……え、付けてって……もう一回するんですか?」
そらが驚いて顔を上げると、啓太朗は迷いもなく言った。
「するよ。するに決まってるやろ」
悪戯っぽく目を細め、首を傾げる。
「……そらは、もうやりたくない?」
にひるな笑顔でそう問われ、そらは困ったように視線を泳がせた。
「……やりたくないことは、ないです。
やりたい……です」
顔を真っ赤にし、うつむくそらに、啓太朗は満足そうに笑う。
カバンから新しいゴムを取り出し、そらの手にそっと握らせた。
「じゃあ――付けて」
車内に、二人の荒い呼吸音だけが響いた。
そらは震える手で、啓太朗のそれにゴムをかぶせようとする。
けれど緊張で指先がうまく動かず、何度も空回りする。
「……っ、むず……」
焦るそらを、啓太朗はじっと見つめていた。
声もかけず、ただにやりと笑いながらその様子を楽しんでいる。
やっと装着し終えた頃には、そら自身もいつの間にか元気を取り戻していた。
「ほら、そらのも元気になってきたやん」
啓太朗がわざと低い声で言い、そらの腰に指先を軽くなぞらせる。
「よかったな。車の中やから一応そらにも付けといたけど……
正解やったな。ほら、もうこんなに出てるやん」
その言葉に、そらは顔を真っ赤にして俯いた。
「……恥ずかしい……」
啓太朗はシートに深く腰を下ろし、
そらの腰を引いて、自分の膝の上に座らせた。
「……なあ、空が自分で入れて」
耳元で低く囁く。
そらはビクリと肩を揺らし、
耳まで真っ赤になってうつむく。
「……っ、そんな……でも……」
「ほーら、そら。できるやろ?」
にひるな笑みを浮かべたまま、啓太朗は動かない。
そらはしばらくもじもじしていたが、
やがて小さな声で搾り出すように言った。
「むり……まだ、難しい…から啓太朗さんがして……」
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