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第1話-4 翌朝

すると、寝室から春が出てきた。 松永は声をかける。 「シャワーはやめといたら?」 すると春はぬるま湯で入るので、と言い、 松永はそれに渋々頷いた。 秋も声をかける。 「大丈夫なの?調べたらあんま良くないって…」 秋は昨夜、春の看病の合間、汗が出ない病気について調べていた。 そこには、風呂や運動、体温の上がるような行動はなるべく控えるようにと記載してあったのだ。 すると春は緩く微笑んで言った。 「シャワーしないと目覚めないから」 そう言って春は洗面所へ向かった。 心配そうにそれを見つめていると、 松永が再び秋に尋ねた。 「聞いたの?病気のこと」 「え?あ、はい」 「…そう」 松永はまた不思議そうな表情を浮かべた後、秋が同じく松永にそのような視線を向けてることに気づき、いやね、と言った。 「珍しいなと思って」 「春は言わないから、自分のこと、人に」 「それに…家を教えたって言うのも」 秋がそれに、俺が聞いたから、と控えめに返すと、松永は言った。 「普通なら教えなかったと思うよ、大丈夫、って言って」 そして続けて言った。 「仲良いのね?」 その松永の言葉に、秋はええ?!と声を上げ、そして赤面する。 い、いや…と照れた様子をする秋に、眉をかしげた。

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