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第4話-7 病室にて
松永が、私も帰るわね、と言った。
帰るなら送るけど、と言う松永に、もう少し…と言って春を見る。春がにこりと微笑む。
「そう、じゃあ帰り気をつけてね」
そう言い、松永も病室を去っていった。
秋はそっと椅子に腰掛け、お母さんとそっくりだね、と言った。
「そうかな あんまり似てないって言われるよ」
「でも話し方とか…仕草がそっくり」
ふふ、と春が微笑む。
「妹?」
先ほど上がった名前が気になり、秋は尋ねる。
「うん」
「お兄ちゃんなんだ、春」
「ふふ、うん でもお姉ちゃんもいるよ」
「え?4人兄弟?」
「ううん 6人」
「6人!?」
秋が驚く。
「お姉ちゃんが1人と、妹が4人」
あ、でも、と春が続けて言う。
「僕双子だから、その子は妹って感じじゃないけど」
「ふ、双子!?!!!?!」
再び秋は驚く。
「え…似てる?」
「いや、似てないと思う 僕は父親似で、もう一人は母親似だから」
そうなんだ、と呟くように言い、秋は想像する。
春と同じ血を分けた兄弟があと5人。
きっととんでもない美人なんだろうな…、と秋がぼんやりと考えていると、春が尋ねる。
「秋は兄弟いるの?」
「いるよ!姉ちゃんが1人」
秋はそうやって春が自分のことを尋ねてくれたことが嬉しくて、ふふふ、と照れるように笑った。
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