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第5話-5 キス以上のこと

そうしてお互い夢中になり、お互いのものを擦りながら、キスを繰り返す。 込み上げてくる快感に、秋は思わず声を上げる。 「…ッ…ちょっと待って…」 春の手が止まる。 はぁ、はぁ、と荒く息を吐き、秋は春の肩に顔を埋めた。 「……………いっちゃいそう」 「…いいよ」 小さくそう言った春に、秋はいやだ、と呟いた。 「…俺……準備したよ」 秋が春の肩に埋めていた顔を上げ、春の表情を確かめるように見下ろすと、春はただじっと秋の目を見つめていた。 春の瞳は大きく揺れている。 春が小さく息を呑み込み、そして小さな声で言った。 「……無理…しないで…いいよ」 その言葉に再び秋は身体を下げ、春を抱きしめるように耳元で言う。 「してないよ…してないでしょ……だめ…?」 「…………春と…したい…」 「……秋」 春が秋の名前を呼び、秋が少し身体を起こすと、春も同じように身体を起こし、そして、秋を支えるように腕を回して秋をそっとベッドに寝かせた。 秋が見上げたその先で、春が言った。 「…痛かったり…嫌だと思ったらすぐに言って」

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