35 / 236

第6話-1 明日は

初めて身体を重ねた日から、春はまた忙しい日々に追われ、そうして二人で過ごせる時間は全くと言っていいほど無かった。 そうして忙しく働く春とは対照的に、秋はほとんど仕事がなく、春を朝早く起こして仕事に送り出した後はただ春の自宅でぼんやりと一人過ごしていた。 春は使っていなかった部屋を秋に譲り、秋はそこにパソコンやギターを持ち込んで、昼間はその部屋で音楽制作を行ったりなどをしていた。 しかし、そうして楽曲をリリースしても、泣かず飛ばすの状態だった。 そうして日中を過ごした後は、帰宅する春を迎えようと深夜までなんとか起きていようとするものの、毎晩、気付いたらソファで寝落ちしてしまっていた。 春はそんな秋に「気になるから先に寝ててね」と言うのだが、少しでも顔を合わせて話がしたい一心で、秋が先にベッドに入ることはなかった。

ともだちにシェアしよう!