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第7話-4 聞こえたかな

もし必要なら送るけど、待ってようか?と言った松永に、松山はタクシーで帰るから大丈夫です、と言った。 「待たれてると思ったら気使うんで」 松山が顔を顰めてそう言うと、松永は苦笑し、じゃあ気をつけて帰って、と車を走らせて帰って行った。 「…随分偉そうなとこに住んでんね?」 目の前のマンションを見上げてそう言った松山に、春は困ったように微笑んだ。 続けて、松山は言った。 「もしかして俺さ、この家に来る友達第一号?」 そういたずらに問いかけた松山に、春は微笑んで言った。 「二人目、かな」  へえ、と松山は小さく返事をして、春を追ってエレベーターに乗り込んだ。

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