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第7話-5 聞こえたかな

春が玄関のドアを開けて、どうぞ、と松山を招き入れた。 「お邪魔します」 そう言って玄関に入ると、奥の部屋のドアが開き、出てきた人に松山は目を丸くした。 「え、秋?」 「や、やあ…」 秋はぎこちなく変な挨拶をした。 ふっと春に目をやると、伏目がちにそっと微笑んだ。 松山は少しの間を空けて、思わずニヤリとした。 するとそれを見て、秋が途端に赤面した。 春は表情を変えず、中どうぞ、と松山を誘導した。

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