46 / 236

第7話-6 聞こえたかな

だだっ広い部屋の中央、ポツンと置かれたソファに、松山は腰掛けた。 春と秋は、ソファの向かい、ローテーブルを挟んだ床に隣り合わせにストンと座った。 「いつから?」 松山がそう尋ねると、秋が少し顔を赤らめながら言った。 「えっ…いつって…な、なにが…?」 「いや、何がって…そういうことなんでしょ?」 「や、あの…えっと…そういうことって…ま、まあ…付き合う…ことに…なりました…」 松山は再びニヤリとして、いつから?と同じ質問をした。 「卒業式の夜に…会って…その日に…」 「へえ…おめでとうございます」 松山がそうニヤけて言うと、秋は再びさらに顔を赤らめた。 「春はいつから好きだったの?」 ただそっと微笑みを崩さない春に、松山は問いかける。 春はその質問に少し瞬きをして考える仕草をした後、言った。 「…高一の時、かな」 秋はそれに、バッと顔を上げて春を見て、素っ頓狂な声をあげた。 「え、うそぉ…?」 「随分長い間両想いだったんじゃん?」 松山がそう言うと、秋は初めて聞いた…と顔を覆うようにしてつぶやいた。 すると春が松山に目を向け、静かに口を開いた。 「ずっと話せなくて、ごめんね」 松山は微笑んで、言う。 「ほんとだよ〜、俺は言ってたのに」 春は微笑みながらも、そっと俯いた。 「ま、良かったじゃん おめでとう」 松山はニヤリとして、続けて問う。 「…で?どこまでいったの?」 すると秋が途端に顔を真っ赤にしてたじろいだ。耳まで真っ赤だ。 その反応に、松山はククッ…と笑う。 「…意外に手早いんだね?」 そう言うと、春は困ったように笑った。

ともだちにシェアしよう!