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第7話-7 聞こえたかな
「じゃあ帰るわ、用それだけでしょ?」
「え、も、もう…?」
「お邪魔でしょ〜?付き合いたてのカップルの家に長居はできませんよ」
「え、いやいや…そんな…」
そうして松山はタクシーの配車アプリを開き、タクシーを呼び出す。
タクシーを待つ間、松山が春に問いかける。
「でもあれでしょ、春、明日から海外なんでしょ?」
「うん」
「早速遠距離じゃん」
すると秋がえっ、と表情を変えた。
「海外?明日から?」
「うん」
「どこ?え、いつまで…?」
「アメリカ 3ヶ月くらいかな」
「えっ、知らなかった…え〜…」
「言ってなかったの?」
「あ…うん、でも…こっちでも仕事あるし…頻繁に帰ってくるよ?」
秋は拗ねたような顔をして、春を見ている。
松山は秋の肩を持つようにして、言った。
「それでも言って欲しいよねぇ?」
「言って…欲しい…」
「…ごめんね」
「なんでも報連相ですよ、恋人は」
こりゃ先が思いやられるな、と松山は思った。
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