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第7話-12 聞こえたかな

そうして続けた後、春がゆっくりと秋に入っていった。 顔を顰め、声を出さないように口元を抑えていた秋の手をそっと掴み、指を絡ませた。 頬を撫でるように唇で撫でた後、耳元で小さくいい?と言った。秋はコクコクと頷く。 ゆっくりと動き出す。 秋は唇を噛み締め、声の代わりに荒く鼻から吐息を漏らす。 繋がれた手に力が込められる。 秋もそれに応えるように、ぐっと強く握り返す。 「…ぁあっ…」 思わず漏れた声に、春がそれを遮るように唇を重ねた。 「…んん……」 秋の甘い吐息が漏れるたび、春はじっと秋の目を見た。 それに秋は眉を下げる。 「…む…り……出ちゃう…声……」 「………やめる?」 「…やだ…やだ……やめ…ないで…」 「…じゃあ我慢して」 耳元で響くその春の声にさえ、秋は強く反応してしまう。 春の腰の動きが少し早まる。 秋は咄嗟に春に腕を伸ばし、強くしがみつくように抱きつく。 春が息を少し漏らし、言った。 「……ごめん、いっちゃいそう」 「お…れも…や…ばい……」 そう言うと、春の手が秋のものに触れた。 ゆっくりと優しく扱かれ、秋の腰が思わずビクッと上がる。 「……んあ…いく…いく……」 「……いいよ」 ものに伝わる快感と、耳元で囁かれた春のその声に、秋は声を漏らしていってしまった。 それとほぼ同時に、春も中でビク、と脈打ち果てるのが分かった。

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