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第7話-14 聞こえたかな
再びどちらからともなく舌を絡め合い、そうして唇が離れた後、秋は情けなく言った。
「…また勃ってきちゃった」
春は気が抜けたように笑った。
秋はふと春のものに触れる。
まだ春のも硬く反応している。
「…もう一回する?」
秋がそうねだるように言うと、春はふっと息を吐き、秋をぎゅっと抱きしめた。
「…今日はおしまい」
「…えー…?」
秋が拗ねたようにそう言うと、春が静かに言った。
「……明日行く前にする?」
秋はその言葉に、春をぎゅっと抱きしめた。
「…する」
「ふふ」
「約束だからね」
「ふふ、うん」
そうして春は優しく秋の髪を撫で、秋はその心地よさを感じながら、すっと目を閉じて眠りについた。
翌朝。
目覚めるとすでに松山は部屋におらず、秋にメールが一件。
「イヤホンしてたから何も聞こえてませんのでご安心を」
秋はそれに顔を赤くする。
ふっと春を見ると、春も携帯を見ていた。
ふと春が秋を見る。顔を赤くしている秋に気付き、不思議そうな顔をした。
秋はそれを隠すように、あっくんからなんか来てた?と慌てて尋ねる。
するとうん、と春が優しく微笑んだ。
「なんて?」
「話してくれてありがとうって」
「それだけ?」
「うん 秋も何か来てたの?」
「え、や…えっと…」
そうして松山から来ていたメッセージを秋が恐る恐る伝えると、春は困ったような表情で笑って、気使わせちゃったかな、と言った。
「聞こえてたのかな…?」
「どうかな」
「はあ……でも…布団もかぶってたし…それに…」
そう言い訳を繰り返しながら悶える秋に春はふわりと微笑み、そっと秋にすり寄るように近づいて耳元で言った。
「もう帰っちゃったし…」
秋は耳元で囁かれたその声に思わずドキッとしながら、春にそっと問いかける。
「……じゃあ…する?」
「…いいの?」
「……したい?」
そう試すように秋が問いかけると、春が小さく言った。
「…したい」
途端、秋はカーッと顔が熱くなるのが分かった。
そうして二人はキスを交わし、寝室へ戻っていった。
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