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第8話-1 松山の恋
春が海外作品の撮影で、アメリカに旅立ってしまってから2ヶ月が経った。
頻繁に帰るから、と言っていた春だったが、仕事で日本に帰ってきても家には着替えを取りに来る程度で長居は出来ず、また、そもそも時間がなく帰ってこれないという日も度々あった。
毎日決まって秋が電話をかけて連絡は取っていたが、それも毎回5〜10分程度で、秋は深刻な春不足に陥っていた。
その日も1人、秋は家で大きなため息をついていた。
その時、携帯が鳴った。
見ると、松山から電話だった。
暇?と軽く松山は言い、飯行かない?と誘われ、その誘いに秋は乗り、すぐに支度をして家を出た。
指定された店に着くと、先に松山が来ていた。
さすがにすでに売れっ子の松山は、個室を予約していたようだ。秋は初めての個室席に少々浮き足だった。
軽い雑談を済ませたあと、松山ははぁー、とため息を吐き、項垂れながら言った。
「俺さ、散々秋の話聞いてやったじゃん?」
「え?あ、はい…その節はどうも…」
「だからさ、俺の話も聞いてくんない?」
松山はため息混じりにそう言い、秋はそれに頷いた。
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