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第8話-2 松山の恋

「俺、好きな人いるんだけどさ」 「うん」 「でもその人にはずっとさ、好きな人がいるっぽくて」 「へ、へえ…」 「で、こないだヤッてる時に…」 「え?!」 秋が大きな声を上げる。 「ちょ、声でかいって」 「ごめん、え、セフレ…的な?」 「まあ、そう で、最中にその相手の名前間違えて呼ばれてさ」 「うわ、最悪…」 「でしょ?…俺もかなり萎えたんだけどさ」 「いや萎えるでしょ」 「でも… 今まで何人もいたセフレ全員切って… 今俺だけだ、とか言ってくんだよね それ、どういうことだと思う?」 秋は口を開けたまま、固まった。 そしてしばらくそのまま考えた後、言った。 「いや…分かんない」 松山はその回答に大きなため息をついた。 秋は慌てて言ってみる。 「や、あれじゃなくて?その…普通に…あっくんが好きだからとかじゃなくて?」 松山は顔を顰めて言う。 「ないない、だって……」 そうして松山は相手と会った時のことを話し出した。 松山が相手に呼ばれて自宅に行き、いつもの流れでセックスをすることになった。 最中、ふと松山が、前回相手が呼んだ名前の人のことが好きなのか?と相手に尋ねた。 すると相手は明確に回答しなかったが、松山が相手の目を手で塞ぎ、その相手だと思って良いよ、と言うと、相手はその相手の名前を何度も呼び、相手としていたようなセックスを求めてきた。 というような話だった。 秋は思わずその話を聞いて顔を顰めて悶えた。

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