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第8話-4 松山の恋
数日後、秋は気になり松山に連絡を入れる。
ちょうど仕事中だったようで、夕方、折り返しの連絡が入った。
「で、どうだったの?」
「どうだったって?」
「いやなんか進展とか」
「別にない、ヤッて終わり」
「それ相談乗った意味あんの〜…?」
「いやそもそも具体的に解決案出してくれてないじゃん」
「けどさぁ〜…ほら、好きって言えばいいじゃんってあれは?」
「…いや無理だよ」
「なんでよ、言えば状況変わるかもじゃん」
「…変わんないよ」
「なんで言い切れんの?」
「だって…」
松山は少しの間を置いて、言った。
「その相手の好きな人、恋人いるんだよ、それ相手も知ってて、それでもずっと好きなんだよ」
でも…と秋は言う。
「あっくんの気持ちは知らないわけでしょ?それ伝えたら変わるかもしんないじゃん」
すると松山は少し苛立つようにして言った。
「いや無理だよ、俺勝てないもん」
「誰に?」
「相手の好きな人」
「そんなん分かんないじゃん」
「…分かるよ」
「分かんないでしょ」
「分かるよ!」
そう大きな声で言った後、松山が吐き捨てるように言った。
「だって…春だよ?相手の好きな人、春だよ?
…勝てるわけないじゃん」
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