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第10話-4 きらい
すると向井はゆっくり身体を起こし、ベッドに腰掛けたまま泣き続ける松山をそっと抱きしめた。
「……しんどい…」
「向井さん…と…いると…しんどい…」
「……俺じゃ……だめなの?…俺だけじゃだめ…?」
向井はそう泣きじゃくりながら言う松山を抱きしめながら、静かに言った。
「淳しか呼んでないって言ったでしょ」
「…だった…ら……!…春の名前なんか……呼ばないでよ…っ…………俺じゃなくて……春呼べば…いいじゃん……」
「淳に…淳に会いたいって思ったんだよ」
「……っ…嘘だ……」
「本当だよ」
「……俺が…すぐ…っ……来るからでしょ…」
「違うよ…違う」
「…俺は…っ……便利屋じゃ…ない……んだよ…」
「…分かってるよ」
「分かってない…!」
「……向井さんは…ずるいよ……」
松山は泣きじゃくりながら必死で声を上げる。
「…俺はこういうこと…向井さんとしかしない……」
「しんどくても……意味ないって分かってても……」
「向井さんが好きだから……向井さんしか……好きじゃないから」
「でも…向井さんは……そうじゃないじゃん」
「……春が好きなら………しんどくても好きでいるだけいなよ」
「こうやって…俺とか……他の……向井さんのこと利用するようなやつで……誤魔化さないで」
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