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第10話-7 きらい
しばらくそうしてずっと向井は松山を抱きしめながらそっと背中を撫で続けた。
やがて落ち着いた松山は、向井の横にゴロンと転がった。
向井はそちらに身体を向けた。
松山は向井に背を向けている。
そっと、向井が背中を撫でた。
すると松山がぼそっと言った。
「…また泣きそうになるからやめて」
「…泣いていいよ」
「…もう泣きたくない」
向井がまた、そっと松山を抱きしめた。
「…だから…」
そう泣きそうな声で言う松山に、向井が震える声で言う。
「…もう泣かせないように頑張るから」
「淳…好きだよ」
「…もぉ…」
松山は悲痛な声でそう言って、向井に回された腕を乱暴に解いた。
そうしてくるりと寝返りを打ち、飛び込むように向井に抱きついた。
そうしてまた、松山は小さく泣き声を上げた。
向井はそんな松山をまた抱きしめた。
「…きらい」
「…僕は好き」
「……きらい」
「好きだよ」
「……だいっきらい…」
「好き…好きだよ」
嫌いと言った言葉とは裏腹に、松山はそう言うたびに腕の力を強め、向井を強く抱きしめた。
それに応えるように、向井も松山を強く抱きしめた。
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