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第11話-3 その夜

春と秋が帰った夜、松山は何も話さず、ただ帰ることもせず、夜が更けて二人はベッドで横になっていた。 松山は向井に背を向け、ただ黙っていた。 「淳」 そう名前を呼んで、向井は松山の背中にそっと手を重ねた。 すると、ゆっくりと松山が話し出した。 「…こうやって拗ねてたら……向井さんに愛想尽かされるって分かってるのに……素直になれない」 向井はそう弱々しく話し出した松山に、ふっと息を吐いて言った。 「そんなんで愛想尽かさないよ」 「……面倒臭いでしょ」 「面倒臭くないよ」 「おいで」 「…自分で…いけないから…来て」 そう言った松山を、向井は後ろからぎゅっと抱きしめた。 回した腕を、松山がそっと掴んだ。 向井はまた、その手を強く握る。 向井の手に雫が落ちた。 「…ふふ、また泣いてる」 「…好き」 震える声でか細くそういった松山の腕を引き、頬を包むように優しく撫でてキスをした。 松山の手が向井の服をぎゅっと掴んだ。 「向井さん、好き」 そうして二人はまた唇を重ね、互いに何度も舌を絡め合い、衝動のままに荒々しく互いの服を剥ぐ。 途中、淳、淳、と、漏れ出る吐息の間で向井が愛おしそうに何度もつぶやいた。 「…もっと呼んで」 「…え?」 「名前…もっと呼んで」 「淳――

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