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第11話-9 その夜
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「…ごめんね」
「…え?」
「…余裕なくなって」
互いの息が落ち着いた頃、横に並んで寝そべっていた春が小さく呟くようにそう言った。
秋はそんな春をじっと見つめ、ふっと笑って言った。
「……なんかめっちゃエロかった」
「…俺、してる時の春の目好き」
「…目?」
「うん いつもの優しい目じゃなくて…なんか…鋭くて…逃げられない、みたいな……その目で見られるだけで…めっちゃ興奮する」
「春」
「…こっち来て」
そう秋が言うと、春は頭を起こして秋に身を寄せた。
秋はそんな春に腕を回してそっと抱きしめた。
「…あったかい」
そう言って秋が静かな寝息を立て始め、春はそっと秋に腕を回した。
すると秋が小さく寝言のように春、と名前を呼んだ。
それに春も同じように、小さく秋、と呼んだ。
そうして互いの温もりを感じながら、二人は静かに抱きしめ合いながら眠りについた。
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