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第14話-7 普通
「なんで言わんかったん」
「……ちょっとも思わなかったでしょ 付き合ってるなんて」
「思わんわ」
「びっくりさせると思って」
「びっくりしたわ!」
そうして柊花ははぁ、とまた再び大きなため息をつき、春の隣に腰掛けた。
「…なんか全部腑に落ちたわ」
春がふっと柊花に視線をやる。
「昔っから潔癖なくらい女っ気ないし…」
「…てか何、無駄に人避けて友達ろくに作らへんのもこれが原因なん?」
そう聞かれ、春はふっと視線を落とした。
すると柊花がパシ、と優しく春の肩を小突いて言った。
「くだらんな そんなんでなんか言ってきたりするやつこっちから願い下げやろ」
そうしてじっと春を見据え、柊花は続けて尋ねた。
「柊花もそういう人やと思った訳?」
すると春は小さく首を横に振った。
「やったらなんで黙ってたん」
「…言えないよ」
「なんで」
「……普通じゃないから」
春がぼそっとそう言うと、柊花が突然はは、と声を上げて心底おかしそうに笑った。
春がそれに顔をあげる。
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