102 / 236

第14話-7 普通

「なんで言わんかったん」 「……ちょっとも思わなかったでしょ 付き合ってるなんて」 「思わんわ」 「びっくりさせると思って」 「びっくりしたわ!」 そうして柊花ははぁ、とまた再び大きなため息をつき、春の隣に腰掛けた。 「…なんか全部腑に落ちたわ」 春がふっと柊花に視線をやる。 「昔っから潔癖なくらい女っ気ないし…」 「…てか何、無駄に人避けて友達ろくに作らへんのもこれが原因なん?」 そう聞かれ、春はふっと視線を落とした。 すると柊花がパシ、と優しく春の肩を小突いて言った。 「くだらんな そんなんでなんか言ってきたりするやつこっちから願い下げやろ」 そうしてじっと春を見据え、柊花は続けて尋ねた。 「柊花もそういう人やと思った訳?」 すると春は小さく首を横に振った。 「やったらなんで黙ってたん」 「…言えないよ」 「なんで」 「……普通じゃないから」 春がぼそっとそう言うと、柊花が突然はは、と声を上げて心底おかしそうに笑った。 春がそれに顔をあげる。

ともだちにシェアしよう!