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第15話-3 秋の誕生日
ぴっとりと身体を寄り添わせたまま、はぁ、はぁ、とお互いに息を漏らす。
「…シーツ…洗わないと」
「……洗濯増やしてごめんね」
「…ふふ……シーツばっか洗ってる」
秋はそう言ってゆっくりと身体を逸らして顔を春の方に向け、首を伸ばして春にキスをした。
そうして春の頬に擦り寄せ、じっと春を見つめた。
そんな秋を春は愛おしそうに見つめ返し、そっと秋の汗を拭うように秋の頬に触れた。
そうして春がゆっくり口を開いた。
「……もうすぐ誕生日だね」
「…ああ…ふふ、覚えててくれたの?」
「……何か欲しいものある?」
んー…と秋は少し考えてから、何もいらないよ、と言った。
その秋の返答に春は少し眉を下げた。
秋はふふ、と笑い、そして言った。
「…欲しいもんないし…それに俺、貰っても大したもの返せないし…」
それでも春はじっと納得いかないように秋を見つめていて、そんな春にじゃあ、と秋はお願いしてみる。
「…ご飯行きたい」
「ご飯?」
「うん 前に柊花さんと外食した時…そういえば春と外でご飯食べたことないなーって…思ってたから」
そう言った後、でも松永さんに怒られるかな、と秋は不安気に顔を顰めた。
すると春はふっと優しく笑い、言った。
「ご飯食べに行くだけならいいと思うよ」
「…ほんと?」
「うん 何食べたいか考えててね」
うん、と秋は嬉しそうに頷き、ガバッと、春に覆い被さるように抱きついた。
あはは、と春は小さく声をあげてそれに笑った。
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