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第15話-10 秋の誕生日
「あんた一体誰の家住んでんの?」
「いや…」
「いや…って、あんたこんな家住めるような子って…ほんまに売れっ子なんやないの?」
「まあ……」
「後ですぐバレるんやから言いなさいな」
そう美代子が秋にしつこく詰め寄っていると、秋の携帯に通知がなった。
それに美代子が反応し、携帯をチラッと見た。
そうして美代子が小さく、はる…とつぶやいた。
「はる…?」
再び顔を顰めてそう言った後、美代子は迷わずその通知をタップした。
秋は思わず勝手に見んといてよ!と携帯を奪い取ろうとするが、それを避けてズカズカとトーク画面を見つめた。
そうして春が送ってきていた週のスケジュールメッセージの1番上、壱川春個人スケジュール、と言う文字に眉をぴくりと上げた。
「壱川春??!!!」
秋はそう言った美代子に、あー!!!っと声を上げてやっと携帯を奪い取った。
そうして春のメッセージを確認する。
春からは一件、「大丈夫?」とメールが来ていた。
そのメッセージを見た後、ゆっくりと視線を上げると、美代子は先ほどの表情のまま、固まっていた。
すると姉の友希が壱川春、と言うワードに反応し、二人に近付いてきた。
そして、何?と不思議そうに尋ねた。
そんな友希には反応せず、美代子は低い声で尋ねた。
「…あんたもしかしてやけど、壱川春と住んでるん?」
秋はなんの言い訳も思いつかず、弱々しくうん…とついに認めてしまった。
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